2017年12月24日日曜日

オーディオピープル vol.9 DP-790 テスト



オーディオピープル vol.9 DP-790 テスト

デノン公式情報 これが一番詳細
DP-790 DENON MUSEUM

DP-790ファミリー google

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雑誌「オーディオピープル VOL.9」で行われた、レコードプレイヤー・テスト。
http://5551.verse.jp/pub/audiopeople_vol9/DP-790_test_audiopeople_vol9.pdf

DP-790は、当時のデンオン入門機だ。DP3000を整理したDP-1000モーターを搭載した、DP-1700よりも安い機種。DP-1600からストロボランプを省略した機種。トーンアームは、DP-1700、1600、790と、ほとんど同一。

回転数の調整は、上位機種と全く同じ機能。プラッター内のストロボマーク、ストロボランプは省いている。調整する際には、付属の小さな回転板をレコード上面に置き、蛍光灯ランプや電灯線依存のLEDランプで照らせば、速度のずれが見える。簡略版だが回転性能や、速度安定性はDP-1600と全く同一だ。

そもそも、正常なDP-790なら速度調整は滅多に行う必要はないの、このような面倒な機能であっても、実用上はまったくマイナス点にはならない。つまり、正常なDP-790やDP-1600なら、速度調整を一度行えば、再調整は不要なのだ。(実用上)

さてデンオンの入門機、最安機種のレポートを読んで、高性能に驚いた。ワウ・フラッタ性能の良さはテレメータテストでわかる、もちろん良い。

しかし驚きはアタックテスト(動負荷特性)だ。レコード盤の大きな音を再生した際に、どれだけ回転が安定し、変動しないで回転するか。変動しても、速やかに元の速度に戻るか、のテストでDP-790は素晴らしい! 鬼のように安定して回っている。

特筆すべきは、DP-790はトルクの弱さが指摘されるACサーボモーターを採用していること。ターンテーブルは軽く、その質量(重さ)で外的な回転の乱れ要因を省くことはしていない。

つまり、後の多くの巨大なレコードプレイヤーシステムのように、ターンテーブルを重くして、その慣性質量で回転性能を高める、と言うことをしていないのだ。それにもかかわらず、これだけきれいな回転をしたことを知って欲しい。

当時の評価としては「ACサーボモータはトルクが弱く、頼りない」と言った意見が主流だった。ベテランと言われる人達も「ターンテーブルを手で触ると、すぐに回転が落ちる」の類の、ナンセンスな感想を書いている。レコードプレイヤーの性能としては、ひどい言いがかりといって良い。「ターンテーブルを手で押さえる」ような乱暴な使い方は、レコードプレイヤーには必要ないはずなのに。

実際に使用すると、回転精度は高い。SP-10モーター採用のPD121に比べても、性能が劣ると感じることはない。DP-790やDP-1000シリーズの電源スイッチを切っても、ターンテーブルはしばらく回転し続ける。ターンテーブルの「重さ」で、回転性能を高めているテクニクス製品では、あっという間に停止してしまうのとは違う状態だ。



























DP790、最初のアタックに対する落ち込みが小さい。その後の回復過程で、回転数がややうわずる。いずれにしても、一こまの範囲での変動だ。




























PS-3750 、大入力に対して、速度減少はDP-790の1コマに対して2コマ。その後の回復で、オーバーシュートの範囲が小さい。大入力ではやや速度が落ちるが、それに対する回復が正確、と言える。







DD-5、DP-790の神レベルにはない。DP-790の1コマに対して2コマの落ち込みがある。回復ではオーバーシュートがあり、落ち込みと同じかやや小さな1コマから2コマのうわずりが出る。

DP-790、PS-3750の超優秀に比べると落ちるようだが、これでも大変優秀な範囲。自然なマイナス、プラス、のグラフが印象的。優等生。


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DP-790、テスト結果からの読み取りに限定することだが、最初の「ドン!」に対する回転数の落ち込みがとにかく小さい。だから、それに対する回復の変動も小幅であり、揺らぎの回復にかかる時間が短い。要は大入力信号に対する回転数の変化が全体として驚くほど少ない。

回転数変化の幅が全体にわたって一こまに納まっている。このテストでこの範囲の変動に納まるのはDP790だけ。次点ではPS-3750がわずかに劣り、PL-1250もその後に続くが波形がややいびつ。DD-5もかなり良い結果を出している。

ただ、とにかくDP-790の安定性と、回復性能が秀でている。
































































ワウ、フラッタともテスト画像の転送状態は美しい範疇に入る。この図からは、フラッタ成分がやや読み取れる状況だ。




以下は、本文のテスターによる評価。

行方洋一

非常にスッキリまとめ上げたシステムである。DP-3000に類似したユニークなデザインを使い、高級感も持たせてくれるもので、音を聴いても変なくせがなく、S/Nの良い音が出てきた。

シンプルなデザインのアームはチューニングもしやすく動きもスムーズだ。アームエレベーションの動きも良く、マニアの心を上手くつかまえているシステムに感じた。

なにしろプロ用機器を製作しているメーカーらしさが充分うかがえるもので、使い勝手も抜群によいものだ。しいていえばストロボを外に出してもらいたい感じだ。

(テスト後の総評より)

放送局にある風のデザインとアームの素晴らしさが気に入ったシステムである。しいていえばストロボ・スコープをもう1つ考えてもらえばもっと良いのではとも感じたシステムである。



和田則彦

さすがに回転精度優秀である。ワウは全くといって良いほど聴けず、ごくわずかなフラッタが辛うじて検知される程度である。

強打(ピアノ)で隣溝のゴーストがハッキリ出るのはS/Nの良さを物語っている。

アームリフター昇降の垂直度の正確さもよい。

大きめの白木ボードの仕上げもすぐれており、ノックテストにも縦横ともに強かった。縦ノックのごくわずかな重低域共振はサブソニック・フィルタで退治できる性質のものである。

モーターのスイッチもフェザー・タッチのワン・タッチでよい。

センター・スピンドルのトンガリはレーベルをいためるので感心しないのと、電源表示ランプもストロボ・ランプもなくて、小さくて見にくいレーベルサイズのシートだけなのはあまりにも簡略化のやり過ぎではなかろうか。

とはいうものの、性能面では老舗の貫禄充分のCP(コスト・パー・パーフォーマンス)優秀品である。
























































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